投稿日:2008-06-09 Mon

タタ・モーターズ社が今年1月に発表し、年末には発売されるという超低価格車「ナノ」。30万円という低価格は世界を驚かし、自動車産業に新たな市場が生まれると注目されています。
そんな世界をにぎわせている同社を、イギリスBBC社が独占取材。プネ市郊外にある製造工場を訪ねました。オンライン版には、ナノが実際に道路を走る映像も公開されました。
http://news.bbc.co.uk/2/hi/south_asia/7431881.stm
30万円という低価格を実現するために、大変な努力があったようです。車輪に使うナットの数から、ドアハンドルに使う部品の数まで、およそすべての部品について、見直したそうです。
「ボディのデザインは3,4回、エンジンも3回変更されました。シンプルさこそがカギなんです」
そう語るのは、同社の小型車プロジェクトリーダー、Girish Arun Waghさん。
「モノの輸送よりも、人の輸送に今後大きい変化が訪れるでしょう。わたしたちは、この機会を見逃しません」
しかし、そう考えているのはタダだけではありません。
同じくインドの自動車会社で、主にオートバイやオートリキャを製造しているバジャジ・オート社(Bajaj Auto)は、ナノに対抗すべく、日産・ルノーと提携。価格もナノと同じくらいに設定するといいます。
バジャジのRahul Bajaj会長は自信を示しています。
「もしタタ・モーターズが儲けられるなら、うちだってできる。コストならタタよりうちのほうが低いですから。しかしGMやフォルクスワーゲンが同じことをしようとしたら、それは無理でしょうね」
しかし、超低価格車で他の世界的企業が対抗できないとしても、すでにプネはいろいろな価格帯で、世界中の自動車企業が参入しています。そして今後も生産は増えて、ほとんどはインド国内で消費されると見込まれています。
ニューデリーにある環境NGO、インド科学環境センター(Centre for Science and Environment)のAnumita Roychowdhuryさんは警鐘を鳴らします。
「すべての人が簡単に遠くに移動できるようになることが理想です。しかし自動車ではその理想を実現することはできません。つまり、インドの町には、もう車が多すぎて、すべての人が車を持つ空間がないからです。渋滞や環境汚染だけでなく、公平性という大きな問題も生まれます」
一方、バジャジのRahul Bajaj会長は強気です。
「私はクリーンな環境には大賛成です。しかし、もし本当のクリーンな環境が欲しければ、原始時代に戻るしかないでしょう」
車の需要はインドの経済の発展と深く関係しています。経済成長とともに、個人の収入も増え、先進国のように、車を所有したいというのは当然の流れです。
しかし、「車を持つのは自由だ」という需要と、「すべての人々が自由に移動できる権利を保障すべきだ」という需要のバランスをとることは、これからのインドにとって(そして世界にとって)、大きい課題となりそうです。
●Exclusive look at the Tata Nano [BBC]
http://news.bbc.co.uk/2/hi/south_asia/7431881.stm


