投稿日:2007-09-27 Thu
今日のスケジュールは健康・安全面のオリエンテーションとその後関係機関の表敬訪問だった。こっちに来て思うのは、衛生環境が劣悪だな、ということ。よく比較されがちな中国と比べれば、都市部だけを見れば、中国のほうがずっと街がきれいに整備されているし、中心地では衛生上の問題から屋台を禁止するなどの措置を積極的に採っている。
個人の見解からすると、これは別にインドが劣っているとは簡単には言えないと思う。同じ経済成長著しいインドと中国だが、インドが民間主導で経済を発展させているのに対して、中国は政府主導の資本主義という体制をとっている。そのため、まずは公共投資にお金が回る。悪く言えば箱物や見かけの部分にまずお金をかけたがる。一方インドは民間主導の発展のため、公共投資にお金を中国ほどかけていないのではないだろうか。そのため、交通や衛生といった分野において遅れをとっているのではないか。少なくても自分が行くプネではそれが問題だと現地発のネットニュースで見たことがある。
さて、オリエンテーションによれば、ここインドで気をつけなければならないのは交通安全と病気である。交通安全については昨日の「歩行訓練」で書いたので、今日は病気について。
ここインドでもっとも気をつけなければならない病気は、「デング熱」「マラリア」「狂犬病」である。デング熱もマラリアもどちらも高熱をはじめいろいろな症状が出る。マラリアは苦しいがきちんとした治療を受ければ死ぬことはない。しかしデング熱は出血やショック症状を伴うことがあり、下手をすれば死ぬ場合もある。そして詳しい発症のメカニズムが解明されてないことからワクチンがないため、治療は対処療法として早めに熱を下げる努力をするだけである。一番効果的なのは、予防なのだ。
デング熱もマラリアも蚊を媒介としてウイルスが伝染する。デング熱は熱帯シマ蚊、マラリアは○○蚊。(忘れた...) まあ、蚊の名前はともかく、マラリアの蚊は主に夜に活動するのが特徴だが、デング熱の蚊は昼間活動するという。つまり24時間蚊には気をつけなければならないというわけだ。この暑い中で、長袖・短パンで外を歩くというのは伝染病という観点からは危ないということになる。
狂犬病も恐い。これにかかってワクチンを打たなかったら、確実に死に至る。たとえ事前に予防注射をしても、噛まれたその日にワクチンを打ち、3日後にも打ち、それからまた何日後かに打つ、ときちんと対処しなければならない。そして世界の狂犬病発症の8割以上がインドで起きているという。国と人口がでかいといえ、恐ろしい数字である。
安全に2年の任期を終えるには気を配らなければならないことが山ほどあるようだ。
さて話は変わって、今日の表敬訪問の移動はすべて車だったので、少し車の話を。バスやトラックの後にはよく「Horn Please」と書いてあるのを今日気がついた。Hornというのは「クラクションを鳴らす」という英語の動詞だが、つまり「クラクションを鳴らしてください」とわざわざ車に書いてあるわけである。なんだか日本とまったく常識が違う習慣だ。まだインド人には確かめていないが、おそらく運転マナーがめちゃくちゃで、予想できない動きをする車の波の中で、クラクションを鳴らして自分の位置を相手に知らせることは、この国の交通事情には適しているのかもしれない。
しかももうひとつ気がつくことは、車のサイドミラーが折りたためるようになっているのはすばらしいが、折りたたんだままで走っている車が異常に多い。たぶんそんなものに頼らないからなのだろうか。
その時調整員の方が一言。「インドでは車を買うときサイドミラーはオプションなんですよ」...
さらに他のJICAスタッフが一言。「インドでは車を買い替えるのはガラスが割れたときではなく、クラクションが壊れたときなんだそうです」
とまあ、後者は多少は誇張しているものと思われるが、いずれにしても、死角のあるミラーなんかより、クラクションのほうが役に立つってことなんだろうか。
最後に、日本食とビジネスの話。ここデリーには日本人が何千人か住んでいるらしいのだが、日本食材店の商売はあまり儲かっていないようなのだ。通常日本人が200人以上いれば、そういった店は出現し始めるらしいのだが、数千人いても売上はぼちぼちらしい。これはどうやらインド特有とのこと。それはどうもインドに住む日本人はそのほとんどが日系企業の駐在員だかららしい。その心は、駐在員はとても高待遇で、企業内で日本から食料品などを送ってもらうときに、補助金が出るというのだ。しかも、日本に帰国していろんな買い物をするときにも「買い出し手当て」のようなものが出るらしい。つまり、近くの日本食材店で買うより、遠くからわざわざ買っても、会社がお金を負担してくれるというわけである。これでは商売あがったりである。
このビジネスマン中心というのはとても中国(とくに広州周辺)に似ていて、最近利益がなかなか出にくい国際線の中で、インドと中国はとても儲かっている、ということにもつながる。座席はビジネスクラスから埋まっていくのだ。ちなみに現在日本からインドへの直行便はデリーとムンバイへ出ているが、ムンバイへの路線は「ビジネス・ジェット」と言って、座席がすべてビジネスクラスという代物だ。
バックパッカーの聖地としてのインドか、はたまたビジネスのインドか……。いずれにしても、一般の日本人にはまだ程遠いように感じるインド。インド数学などで最近注目を浴びているものの、人的交流はいまだに希薄。その穴を埋めるためにこそ、青年海外協力隊で現地の人と同じ目線で仕事に取り組む活動が生きてくるのだと信じている。


